【完】ある日、恋人を購入した。
そして、その後知ったのが、現在のS.Shop=恋人屋。
販売のルールを確実に無視していることはわかっていたけど、俺は我慢が出来なくてシュウに言った。
「売って欲しいコがいるんだ」
「…ウチはそういう店じゃないから」
「知ってる。でも、どうしても欲しいんだ。金ならいくらでも出す」
「…、」
そう言って話し合い、何度もシュウとモメた上やがて売買が成立。
友香には申し訳なかったけど、極秘で商品になって貰った。
…最初からルール違反だったから、その方法しかなかった…。
だからといって、友香を知っているみきほさんに協力してもらって、俺が友香に普通に近づくことは出来ないし。
だったら、相性が100%良いフリをするしかない。
俺は初めて友香に会ったフリをして、一生懸命商品のフリをした。
だけど俺は久しぶりに会った友香が、“あの頃”と全く違っていてビックリもした。
…周りが引くくらいのワガママが消えている…。
そのことが少し…ほんの少し寂しくも感じていた。
「…はぁ」
それから友香と短いながらも幸せな日々を過ごして、失恋手続きが終わった今。
俺は深いため息とともに、ハンドルに預けていた体をやっと起こした。
…幸せは、どうしたって…どんな手を使ったって、金じゃ買えない。
わかっていた、はずだったのに……。