【完】ある日、恋人を購入した。
正直、シュウさんといると心が楽だ。
それに聞き上手だし、一緒に居て楽しい。
だから、シュウさんがいてくれてよかった…。
S.Shopのオーナーがシュウさんじゃなかったら、あたしは今頃完全に壊れていたかもしれないし。
…しばらくそんなことを思いながら片づけをすること、数分後。
そろそろ作業も終わりに近づいていた時、ふいに仕事場の入り口で足音が聞こえてきた。
「…?」
その音に入り口の方に目を遣ると、そこに入って来たのは神崎くんで。
ふいにバッチリ合った視線に、あたしはふっとそれを逸らす。
…まだ、帰ってなかったのか。
「…なぁ、トモ」
「?」
「本当に辞めんの?」
「…、」
だけどあたしが目を逸らした途端、神崎くんのそんな声が聞こえてくる。
その声に、あたしは顔を上げて…
「うん」
「!」
「短い間だったけど、ありがと」
「…」
それだけを、神崎くんに伝えた。