【完】ある日、恋人を購入した。
…よし、片付け完了。
そしてそれと同時に片付けも終わり、あたしはその鞄を肩にかける。
これで最後だ。もう、一生ここに来ることはない。
あたしはそう思いながら、
「じゃあ、神崎くん。お疲れさま」
「…、」
そう言って、彼の横を通り過ぎようとした。
…しかし。
「俺の気持ちはどうなんの?」
「?」
その時すれ違いざまに、あたしはふいに神崎くんにそう言われた。
あたしがその言葉に立ち止まると、神崎くんが言葉を続ける。
「…俺、すげー後悔してんだよ。昔お前を振ったこと。
だからわざわざお前がいるこの会社に転勤してきたんだ。
俺この前言ったじゃんか。彼氏と別れて俺と結婚してって、」
「彼氏とは別れたよ」
「!」