【完】ある日、恋人を購入した。
「モメても新しい人来るんならいいじゃん?ここ、ただでさえ人手が足りてないんだし」
「そうだけどさぁー」
あたしはアズサにそう言うと、またパソコンに向き合って仕事を再開させる。
…ま、どのみちあたしには関係ないことだし。
それにきっと、その新しい人も恋人いるだろうし。
(ていうか、社内恋愛はゴメンだ)
「あたしが惚れられちゃったらどうすんのーって話よー」
「…」
そしてあたしの隣で独りそう言うアズサの言葉を、あたしは聞こえないフリをした。
…………
…………
そして、その夜。
仕事が終わって、あたしは約束通りにそのまま“S.Shop”に直行した。
お店の位置はあまり通らない場所にあったから、まぁお店の存在を知らなかったのは当然かな。
「こんばんはー」