【完】ある日、恋人を購入した。


…俺でいい、って?


あたしがその言葉に首を傾げていると、尚叶くんが言う。



「だって俺、ずっと友香のこと騙してたんだよ。

友香の気持ちを全く考えないで、バスの中で会ったっていう記憶だけで友香を金で買って…。

友香は物じゃないじゃん。なのに俺、散々引っ掻き回してんだよ」


「…、」


「それに、相性だって100%どころか1%だって、シュウに聞いた。

最初はビックリしたけど、今思えばどうりでって感じだよな。

……だからきっと俺、たぶんこれからも友香のこと引っ掻き回すよ?」



尚叶くんはあたしにそう言うと、不安混じりにあたしを見遣る。

その事実に、あたしはまたビックリしつつも…静かに納得する。


けど、



「いいよ。構わない」

「!」

「相性が何%だろうが、あたしの気持ちは変わらないから。

それに、あたしをお金で買ったことだって、それぐらい尚叶くんはあたしのことを想ってくれてたって証拠でしょ?

あたしは嬉しいよ。尚叶くんはどうなの?」


「え、」


「相性が悪かったら、あたしへの気持ち…簡単に変わる?」
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