【完】ある日、恋人を購入した。

そう言って抱きしめると、尚叶くんもそのうち戸惑いつつ…あたしの背中に腕を回してくれる。



「…風邪うつっても知らないよ」



なんて、呟いて。



「平気だよ。もう治ってるじゃん」

「でも、病み上がりが一番うつりやすいって」

「大丈夫だってば。言ったでしょ?あたしバカだから風邪ひかないもん」

「それ自分で言う?」



尚叶くんがそう言って笑うと、あたしは抱きしめる体を少し離して…至近距離で尚叶くんを見る。

そのあたしの視線に、尚叶くんは顔を赤くしつつ…目を逸らしてしまう。


けど、



「…ねぇ、尚叶くん。チューして?」

「!!…え、」

「お願い」



あたしはふいにそう言うと、そっと目を閉じた。



「…~っ、」



もう一回、尚叶くんからのキスが欲しいから…。

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