【完】ある日、恋人を購入した。

「…!」


突如、肩に何かが乗っかってきた感触を感じた。

それはあまりにも突然すぎるから、俺は一瞬何が起きたのかわからなくて。

まさか、と隣を見ると…


「…友香?」


さっきまで、隣で真剣に映画を観ていたはずの友香が…寝ていた。

肩に寄りかかってくるのは素直に嬉しいけど、ちょっと照れるし動こうにも動けない。

っつか、動きたくない。動いたら離れてしまう気がして。


「…、」


友香が寝てるなら、と映画を消そうとしたけど、そうしたらなんとなく友香が起きそうな気がして躊躇った。

だから俺は友香を起こさないように、あえて全部をそのままにして…友香の隣で静かに楽な体勢をとる。

映画が始まった時はこの距離にドキドキしていたけど、何でだろう…今は凄く心地がいい。


「おやすみ、友香」


そして俺は友香にそう囁くと、自分もやっと目を閉じた。

明日は友香と何処に行こうか。

そんなことを考えているうちに、俺もすぐに眠りについた…。




【おやすみの誘惑/おまけ②】




(…あれ、あたし夕べいつの間にか寝ちゃってたんだ!)
(うん、気持ち良さそうに寝てたよ)
(ええー!恋愛映画で照れまくる尚叶くんが見たかったのにー!)
(……)
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