【完】ある日、恋人を購入した。
【おまけ③】



「…どうしよっかなぁ」

「ごめん。ほんと、ごめんね」


暖かい部屋の中。外は、雪。

部屋の真ん中で仁王立ちするあたしに、尚叶くんがそう言って謝る。

いったい、何があったのかと言うと…。


「うーん…じゃあ何か罰ゲーム考えよっか」

「エ、」

「当たり前じゃん。二時間も遅刻したんだから!これでも優しい方だよ!」


そう。

尚叶くんと、映画を観に行く約束をしていた今日。

映画は13時半からだから、その10分前くらいに待ち合わせをしていたのに。

それなのにこの男、待ち合わせ時間になっても全っ然来なくて。っていうか来る気配すらなくて。

スマホで連絡しても全く繋がらないし、連絡も来ないし。

で、結局来たのは映画が一本終わった後だった。

だから、映画を観ずに待ってたあたしは、超ご立腹で。

…まぁ、良かったよ。尚叶くんの身に何かあったわけじゃなかったし、単なる寝坊だったんだから。

だけどさぁ。


「っていうか何なの寝坊って。いくら休みの日だからって13時になっても起きないって何それ」

「いや、ごめんってば。夕べは朝の5時まで友達と飲んでてさ…家に帰ったら5時半で、だからやっと眠りについたのは6時だし」
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