【完】ある日、恋人を購入した。

わ、近い…!


「?……どうかしました?」

「……いや、」

「?」



そんな彼の様子にあたしが?でいると、それを見ていたシュウさんが言う。



「あ、あー、ごめんね友香ちゃん。コイツ、結構人見知りでさ。仲良くなるのに時間かかると思うけど、でも根はいい奴だから」

「そう…ですか」

「因みに、名前は高杉尚叶(なおと)。友香ちゃんと同じ、24歳。あとは尚叶から直接聞いて。

とりあえず今日から1週間、恋人として試してみてよ」



シュウさんはそう言ってあたしに一枚の紙を差し出すと、またあたしに何かの手続きをするように言う。

お試し期間でも、サインとかハンコが必要みたい。

あたしがそれにサインをしている間、尚叶くんはこの後予定があるのかずっと時間を気にしていた。


……あたし、本当にこの人とホンモノになれるんだろうか。



…………



そして、お店での手続きが終わるとあたしはシュウさんと別れて、尚叶くんと一緒にお店を後にした。

外は昼間晴れていたのに、いつの間にか雨が降っていて、傘を持っていないあたしは空を見上げて思わずため息をつく。



「…はぁ、最悪」

「……」

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