【完】ある日、恋人を購入した。
そしてチラリと隣を見遣ると、尚叶くんは傘を持ってきていたらしく、それをバサ、と開く。
それを見たあたしは、この際だからと尚叶くんに言った。
「あ、尚叶くん傘持って…」
しかし…。
「断る」
「!」
尚叶くんはあたしの言葉を最後まで聞かずに、独り傘をさしたまま外へ出た。
「っ…ちょっと、まだ何も言ってないでしょ!?」
「言わなくてもわかる。でも、傘は一本しかないし」
そう言うと、
「ここは正直に、シュウさんに傘貸してもらえば?」
と、そう言葉を続けてあたしの方を振り向く。
…貸してもらうって。
「その傘に二人で入ればいいじゃん」
「無理。俺、狭苦しくてそういうのキライ」