【完】ある日、恋人を購入した。

あたしがそう言って財布を近づけると、おにーさんは目を丸くしてそれを見つめる。

そして、小さく呟いた。



「…ほんとだ」

「でしょ!?」



そんなおにーさんの言葉にあたしは財布をまた仕舞うと、再度お願いした。



「今度ぜったい返すから!おにーさん貸して、2200円」



しかし…



「…断る」

「ええ~!?」



おにーさんは冷たい態度でそう言うと、あたしに顔を背けた。

そして軽くショックを受けるあたしに、背中までもを向けて言う。



「…今度返すって言われたって、何か怪しいし」

「そんなことない!ちゃんと返すよ」

「ここは正直に、あの運転手に謝れば?」

「!」

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