【完】ある日、恋人を購入した。

「…」



……なんか怪しいな、尚叶くん。


そんな彼の様子にあたしはそう思うと、首を傾げて尚叶くんを見つめる。

するとその間に目的の階に着いて、チン、と音が鳴ってドアが開くなりスタスタと尚叶くんが先を急いだ。



「あ、ま、待ってよ！」

「…」



そんなあたしの声も、尚叶くんには聞こえない。

そしてようやくその部屋のドアの前まで来たかと思うと、尚叶くんがその鍵を開けながらあたしに言った。



「悪いけど、ここでちょっと待ってて」

「え、なんっ…！？」

「すぐ終わるから」

「！」



尚叶くんはそう言うと、ドアを開けるなりすぐに中に入ってしまう。

そんな尚叶くんに、あたしは「やっぱり部屋が汚くて片付けるんだな」とすぐに察した。


けど…



「…っ、おまたせ」

「！」