【完】ある日、恋人を購入した。

おにーさんはそう言うと、遠くの運転席にいるあの運転手を指差す。


いや、謝れば?って。

それで許してもらえたらそもそもお金要らないじゃんね。


あたしはそう思うと、ふて腐れて言った。



「…ケチ」

「…」



…じゃあもういいよ。他の人に借りるから。


しかし、あたしがそう思って席を離れると…



『まもなく○○駅です。お降りの方はお忘れ物のないようにお気をつけ下さい』


「!」



ふいにそんなアナウンスが鳴って、もうその駅まで着いてしまった。




「あー…ちょっとおにーさん、」

「…知らない」


< 8 / 359 >

この作品をシェア

pagetop