Ri.Night Ⅲ

「煌、止めて。お願い」


「……っ、お前、何言ってんのか分かってんのかよ!?そいつは獅鷹だぞ!?それにそいつは──」


「分かってる!!」



分かってるよ、そんな事。


獅鷹と鳳皇の関係なんて分かってる。


貴兄が十夜に怪我をさせた事ぐらい分かってる。



だけど、もう見たくないの。


貴兄と十夜達が喧嘩してる所なんて、これ以上怪我が増える所なんてもう見たくない。






「──阿呆。飛び出してくるんじゃねぇよ」


「………っ」




「凛音!!」

「りっちゃん!!」

「凛音ちゃん!」



背後からお腹に腕を回されたかと思ったらグッと後ろに引かれて。


身体がふわり、宙に浮いた。



「たか──」


「出てきてごめんな。ギリギリまで我慢したけど駄目だった」


「……っ」



耳元で囁かれたその言葉にあたしは何も言えなかった。


貴兄は“ココ”に出てきてしまった事を後悔してるって分かってしまったから。


獅鷹総長の姿で出てきてしまった事を後悔してる。


もしこの場を上手くかわせたとしても、あたしと獅鷹総長が繋がっているのは明白で。


そうなると、その先がどうなっていくかは大体予想がつく。



もう、この絡められた糸からは逃げられないんだ。

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