Ri.Night Ⅲ
「凛音!応えろ!!」
いつまで経っても応えようとしないあたしに、煌が苛立った足取りで詰め寄ってくる。
「だから後悔すると言ったのに」
──それを、貴兄の一言が止めた。
「……なんだと?」
その場に立ち止まった煌が怪訝な顔で貴兄を睨み付ける。
「こ──」
「貴!!」
それに対して再び何かを発しようとした貴兄に、あたしは何も考えずに貴兄を呼んだ。
「……凛音、お前……」
「あ……」
煌があたしを凝視する。
貴兄から移されたその疑いの目に、あたしは後悔の声を洩らした。
咄嗟に呼んでしまった“貴”と言う名前。
それは自分から獅鷹と何かしら関わりがあると言っているようなものだったから。
それを聞いて、頭の良い彼等が気付かない訳がない。
「──お前、まさか“あの時”りっちゃんを連れて行った男なのか?」
彼方が眉を引き寄せてそう問い掛ける。
「……そう言えば、あの時凛音は男の事を“貴”って呼んでた。じゃあ、あの時の男は……」
震える唇で辿々しく言葉を紡ぎ、信じられないとでも言うように目を見開いた陽。
「……獅鷹、総長?」