Ri.Night Ⅲ


陽の問い掛けに応える者は誰もいなかった。


ただ言葉だけが静かな公園に木霊し、消えていく。



十夜を除く四人は眉間に深くシワを寄せ、睨むように貴兄を見据えていた。


一方貴兄は気にも留めていないとでも言う様に無表情で。


いや、寧ろ余裕と言った表情で笑みを浮かべているように見えた。




「……ハッ。まさかあの時の男がお前だったなんてな。どうりで強ぇ筈だ」


「………」


「……テメェ、なんで凛音を連れて行きやがった!!」


「……っ、煌!止めて!あたしが、あたしが……!!」


「あの時忠告した筈だ。“後悔する”と。捜さない方がお前等の為にもコイツの為にも良かったのに」


「………っ」




“後悔”


“お前等の為にも”


“コイツの為にも”



貴兄の言葉が心に重くのし掛かる。



貴兄の、言う通りかもしれない。


現に今、この“事実”にみんな驚いている。ショックを受けている。



あたしを見る目が、

その表情が、

そう言ってる。



当然だと思う。


仲間だと思っていた人が敵対してるチームと関わっていたのだから。


ショックを受けて当たり前だ。





「何でテメェが凛音を連れて行く?」


一段と怒りの籠ったその声は背筋が凍るほど冷たくて、自分に言われた訳じゃないのに冷や汗が流れた。

< 105 / 368 >

この作品をシェア

pagetop