Ri.Night Ⅲ
あたしはあの日、暴走の後彼方とアイスを買いに行って、その帰り道に黒烏に襲撃された。
それをなんで──
『貴兄が知ってるの?』
『……お前が鳳皇と関わっていると知って直ぐに慧に調べさせた。まさか電話してた時に襲撃されているとは思わなかったけどな』
『………』
『けど、襲撃の事があったからお前を直ぐに連れ戻そうと思ったんだ。お前を危険に晒すような所へは置いておけないからな。
だから次の日電話した。親父とお袋が帰ってくるから迎えに行くと言えば、お前は絶対帰って来るから』
……確かに、あたしはパパとママが帰って来るって言われたから帰ろうと思った。
その理由じゃなかったら何かしら理由を付けて断ってたかもしれない。
『帰ってきたら話を聞こうと思ってた。そして、鳳皇から離れるよう説得しようと思ってた。
そんな時、お前から電話が来たんだよ。“助けて”てな』
『………』
『お前はアイツ等の名前を呼んでた。それで大体の状況は把握出来たよ。凛音が捕らえられていて、アイツ等を呼んでいるってな』
貴兄から紡がれる言葉に、あの時の状況が脳裏に鮮明に浮かび上がる。
『お前が電話で言った言葉からあの場所を特定した。その後はお前が知っている通りだよ』
全部説明し終わったとでも言うように貴兄は顔を伏せて「ふぅ」と溜め息をついた。