Ri.Night Ⅲ
『貴兄……優音……ごめんなさい……。隠してて、ごめんなさい……』
『凛音……』
二人の瞳が哀しげに揺れる。
あたしは貴兄と優音、そして鳳皇の皆も振り回した。
この状況になって漸く自分の愚かさに気付くなんて……。
『……っ、ありがとう。助けに来てくれて、ありがとう……』
その言葉と共に、堪えきれなかった涙がぽたぽたと太股に零れ落ちる。
『……凛音』
涙を拭いながら何回も何回も“ごめんなさい”を繰り返すあたしを、貴兄がそっと抱き締めてくれた。
『貴、兄……?』
『謝るな』
なんで……。
『……ごめんな』
『……っ、何で貴兄が謝るの!?あたしが悪いのに……!』
『いや、俺は何も聞かずに無理矢理お前を連れ戻した。アイツ等とこれ以上関わらないよう“この姿”で』
あたしを離した貴兄がそっと視線を落とす。
『貴兄は、悪くない。それに、無理矢理じゃないよ。あたしは自分から帰るって決めてた』
貴兄にバレたら離れるって、そう決めてた。
『帰るって決めたのはあたしなの』
『凛音……』