Ri.Night Ⅲ
「凛音!!」
「……っ、」
背後から右腕を引っ張られて、身体が半回転する。
気付けば首に陽の両腕が回されていて。
苦しいぐらい強く抱き締められた。
「……嫌だ。嫌だ!!俺は凛音と離れたくない!!やっと逢えたのに離れたくない!!」
「陽……」
離さないと言わんばかりにあたしを強く抱き締める陽に、もう涙が堪えられなかった。
陽の温もりがあたしの涙腺を刺激して、抱き締める力の強さに心が揺さぶられる。
「陽……」
「俺はっ!俺は凛音と友達でいたい!……なんで、なんでだよ………っ!!」
必死で言葉を吐き出した陽があたしの首元に顔を埋める。
そんな陽に涙がボロボロと流れ落ちた。
「……っ陽、陽………」
小刻みに震える陽の身体に両腕を回し、そっと抱き締める。
陽。
あたしの一番の友達。
鳳皇の中で一番近くに居た人。
朝から夜まで一番長い時間ずっと一緒に居たあたしの親友。
大好きな、仲間。
「……陽、あたし、陽の友達で良かった。陽と一緒に過ごせて良かった。陽の事、絶対に忘れない」
「……っ何で!何でそんな最後みたいな──!!」
「最後なの」
「……っ、」
「あたし、学校辞めるから。辞めて、地元(こっち)に戻るの」
その言葉に顔を上げた陽が身体を離してあたしを見る。
涙でゆらゆらと揺れる瞳が余計に涙を誘った。
「近々、マンションも引き払う」
「……っ嫌だ!そんなの嫌だ!辞めるとか言うなよ!戻るとか言うなよっ!!」
あたしの両肩を強く掴み、悲痛の表情で頭を激しく左右に振る陽。