Ri.Night Ⅲ
「ごめんね、陽」
震える唇から出たのは、別れの言葉。
一歩足を踏み出し、陽に向かって両手を広げると力一杯抱き締めた。
「陽の事、絶対忘れない。大好きだったよ」
本当に、大好きだった。
「ありがとう」
そう耳元で囁いて、そっと身体を離す。
顔を見たら離れたくなくなるから、顔を伏せたまま踵を返した。
バイバイ、陽。
バイバイ、みんな。
「凛音!!り──」
「凛音と出逢ったのがお前等じゃなかったら良かったのに。お前等じゃなかったら俺は──」
陽の言葉を遮って聞こえた、貴兄の意味深な言葉。
その言葉にどれほどの想いが込められていたのかなんて、今のあたしには分からなかった。