Ri.Night Ⅲ
それから、あたしは二人に鳳皇との事を全て話した。
喧嘩に巻き込まれて出逢った事。
bladeに目をつけられて鳳皇に護って貰った事。
鳳皇のファンにイジメられた事。
鳳皇と獅鷹が敵対していたと知った時の事。
それを知って鳳皇を抜けようとした事。
けど、抜けられなかった事。
中田のあたしに対しての執着。
bladeがイジメに関わっていた事。
全部、話した。
けど、どうしても十夜を好きだという事だけは言えなかった。
ううん、言っちゃいけないと思った。
あたしが十夜の事を好きだと知ったら、貴兄はきっと自分を責めるだろうから。
だから、この想いは絶対に言っちゃいけないと思った。
『凛音、アイツ等に“獅鷹と敵対している”理由を聞いたのか?』
今まであたしの話を黙って聞いていた貴兄が、何故かそんな事を聞いてきた。
『ううん、聞いてない』
そんな事聞けないよ。
獅鷹の事を知らない事になっているのに、そんな深い理由を聞いたら怪しまれてしまう。
『そうか……』
あたしの返事を聞いた貴兄は、安心したように溜め息をついて目を逸らした。
『何があったの?』
そう聞き返したけど、
『凛音、お前はこれから鳳皇と関わるつもりはないんだろ?』
念を押すようにそう聞いてきた貴兄に『うん』としか言えなくて。
『じゃあ知らない方がいい』
貴兄はそれだけ言うとソファーから立ち上がってキッチンへと行ってしまった。
どうやら“理由”を言う気はないようだ。