Ri.Night Ⅲ
「リンは短くても似合うね」
いつの間にか時人くんの肩へと移動していたフーコとジュニアを肩に乗せながら、にこにこと笑顔を振り撒く時人くん。
うぐいす嬢並みに爽やかな笑顔でそう言われると何だか照れる。
……っといけない。あと五分しかない!
終始ニコニコしている時人くんに「ありがと~」とお礼を言いながらアクセサリーを身に付けて、「じゃあ行ってきます!!」と、未だ富士山をセットしている嵐ちゃんと時人くんに手を振った。
もちろんフーコとジュニアにも。
「いってらっしゃい~。気を付けてね~」
「早く帰って来いよ~」
アンタは妃奈目当てでしょうが!
心の中で嵐ちゃんにそう突っ込んで、自分の部屋を後にする。
階段を駆け下りると、タイミングよく優音がリビングから出てきた。
「お前、あと15分しかないぞ?」
あたしの顔を見るなり呆れた顔でそう言った優音に「そうなの!ヤバいんだって!」と言いながら玄関に座り込み、スニーカーに足を突っ込む。
「ったく。送ってやろうか?」
「えっ!ホントッ!?」
待ってましたと言わんばかりに振り返って、「やりぃ!」と指を鳴らす。
「優音大好き~!」
「……お前って現金な奴だよな」
はぁ、と小さく溜め息をついた優音はあたしの頭頂部をコツンと叩いて、下駄箱の上に置いてあったバイクのキーを手に持った。