Ri.Night Ⅲ

何だかんだ言ってもやっぱ優音は優しいよね。


ううん、優音だけじゃない。


あたしの周りの人はみんな優しい。


貴兄も優音も時人くんも嵐ちゃんも慧くんも遊大も。


遊大の姿はまだ見ていないけど、リビングから話し声が聞こえるから遊びに来てるんだろう。

きっと慧くんも居ると思う。












“あの日”から、早くも数日が経った。


あの日、家に帰ったあたしは、貴兄に強制的に寝かされた。


多分、起きていると色んな事を考えるからだと思う。


次の日、朝目が覚めると、昨日溜まり場で酔い潰れていたはずの嵐ちゃんが何故か床に転がっていて、その隣で寄り添う様にフーコとジュニアが寝ていた。


何で嵐ちゃんがあたしの部屋で爆睡しているのか、覚めきっていない頭で頑張って考えたけど全く分からなくて。


どうしたらいいのか分からないままボーッと嵐ちゃんと二匹を眺めていると、ガチャと静かに部屋のドアが開いた。


ドアの隙間から顔を覗かせたのは時人くん。


目が合った時人くんはにっこりと微笑んで、足音を立てないようにそろっと部屋へと入ってきた。


『凛音、おはよう。よく眠れた?』


転がっている嵐ちゃんを起こさないように小声で喋る時人くん。

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