Ri.Night Ⅲ
もしかして……。
そう思った時、壁に手を付いていた男が少しだけ動いた。
それによって見えたのは、俯いている妃奈の姿。
やっぱり!思った通りだ!
ギリッと唇を噛んで、その場から駆け出す。
向かうのは、当然妃奈の元。
やっぱりこの姿で来て正解だった。
女二人で繁華街歩いていたら絡まれやすいって分かってたからね。
妃奈みたいな可愛い子は特に狙われやすいし。
リンの姿で来たら絡まれないと思ってたけど、まさか待ち合わせ前にナンパされるなんて。
妃奈、ごめんね。
『──なぁ。誰の女に手出してんの?』
すぐ助けてあげるから。
「あぁ゙?」
妃奈の前に居た男の肩をグイっと引くと、肩越しに振り返ってきた男。
隣の男も同時に振り返り、鬼の様な形相で凄んでくる。
その表情は女に向けるものではなく、明らかに男に対してのもので。
まぁ、それは仕方ないんだけど。
あたし、今“リン”だから。
『その子、俺のなんだけど。離してくれない?』
「………っ」
スッと目を細めて睨むと、一瞬歪んで見せた男。
『その手、離せよ』
「……チッ。オイ、コラ、チビ。テメェ調子乗ってんじゃねぇぞ?」
追い打ちをかける様に睨みを利かせれば、男は妃奈の前から退いてあたしに向き直った。
……っていうか、アンタもチビじゃん。