Ri.Night Ⅲ


今にも殴りかかってきそうな男に悪態をついた時、タイミングよく現れた駅員さん。


駅員さんを見つけたあたしは、スッと身を屈めると、男二人の間をバスケ選手並みに素早くすり抜けた。



「なっ!?」

「なんっ……!?」


驚愕の声を上げる男達を背に、これまた驚愕の表情を浮かべている妃奈の左手を掬い取るように取る。


そして……。



『妃奈、行くよ』

「え?」


手を引いてその場から駆け出した。



「テメェ!!」

「待てや!!」


誰が待つかっつーの!


ナンパに失敗したぐらいで闘牛の様に追いかけてくる男達にフンッと鼻を鳴らして、男達の後ろに居る駅員さんに向かって叫ぶ。


『駅員さん!あの人達が彼女に痴漢しました!』



後は駅員さんに相手して貰う事にしよう。


あたしの思惑通りに駅員さんに捕まった馬鹿なナンパ男達は、駅員さんに取り押さえられながらあたしに向かって鋭い視線を投げつけてきた。


そんな男達にフッと小さく失笑をプレゼントし、男達の視界から消える。



ざまあみろ。

妃奈に手出すからだよ。





『あー、疲れた』


角を曲がった所で立ち止まって、ふぅと軽く息を吐き出す。


「えっと……凛音ちゃん?」

『ん?』


不意に呼ばれて妃奈を見下ろすと、妃奈がコテンと首を傾げていて。

その可愛さに悶絶するあたし。


可愛すぎるんですけど!!

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