Ri.Night Ⅲ
「そうだよ。ごめんね、妃奈。あたしが遅れたからアイツ等に目付けられちゃったんだよね」
安心させるように凛音の声に戻して笑い掛けると、ふにゃっと頬を緩めてホッと安堵の溜め息を吐き出した妃奈。
「ううん。絡まれたのはあたしが悪いの。キョロキョロしながら歩いてたらあの人達にぶつかっちゃって。それにしても、見た目も声も違うから驚いちゃった」
『妃奈、“リン”見たいって言ってたでしょ?』
「うん!でもまさかこんなにも男の子になるなんて思ってなかったよ」
『男装歴3年だからね。どう?カッコイイ?』
「うん、すっごく!!」
グッと両手を握り締めてキラキラと瞳を輝かせる妃奈に萌えバロメーターが最大値まで跳ね上がる。
『妃奈!可愛すぎる!!』
最早癖になりつつあるあたしの抱きつき攻撃に、「り、凛音ちゃん、苦しい……」とアップアップする妃奈。
あーもー。あたしが男だったら絶対妃奈を彼女にするのに。
「見て見て。あそこのカップル可愛い~」
「ホントだ。美男美女で可愛い~」
「彼氏、彼女大好きなんだね~」
妃奈をギュウギュウ抱き締めるあたしを見て、クスクス笑う通行人。
そう言えばココ、道のど真ん中だった。