Ri.Night Ⅲ
それから、せっかく繁華街の近くに居るんだしと、そのまま繁華街へと向かったあたし達。
人の流れに身を任せ、途中気になる物を見つけては立ち止まり、気に入れば買うを繰り返す。
一応端から見ればあたしは男な訳で。
ギラついた瞳で女物の服を物色しているとそっちの人だと思われ兼ねないから、妃奈の横にピッタリとくっついて、如何にも彼女の服を選んでますという風に見せかけた。
欲しい物があれば妃奈に着いてきて貰ってレジでお会計。
こうすればどっからどう見ても彼女に買ってあげる優しい彼氏にしか見えないからね。
頭良いぞ、あたし。
一時間後にはもう何も持てないぐらい両手が紙袋で塞がっていて、鞄持って来なくて良かった、と心の中で苦笑しながらエレベーターの壁にそっと凭れた。
ガラス越しに射し込む太陽の光が凄く眩しくて、反射的に片目を瞑る。
開いている片方の目には凹凸のある高層ビルが映っていて、その向こうには山が見えた。
あの山の向こうに、皆が居る。
馬鹿だよね。
思い出したくないと思っているのに自然に思い出してしまうなんて。