Ri.Night Ⅲ

そんなにコーンスープが飲みたかったのね。


ニコニコと笑みを零しながらメニューを眺める妃奈にあたしもつられて頬を緩める。



悩みに悩んだ末、あたし達が注文したのはエビドリアとたらこスパ、そしてAセット二つにドリンクバー。


ちなみにコーンスープはAセットに含まれていたりする。


妃奈のメインはコーンスープだから忘れてはいません。


あーお腹空いた。




待っている間、妃奈と色んな話で盛り上がった。


ファッションの事、メイクの事、芸能界の事、至って普通の世間話。


けど、鳳皇の話題は一切出てこなかった。


それは料理が運ばれて来てからも変わらない。


特別意識している訳でもなく、あたしも妃奈も自然とその話題を避けていた。



それなのに、何故こうもタイミングが悪いのだろう。


楽しく会話していた中、突如現れた黒い影。


黄色い声をホール一杯に響かせ、妃奈の後方から近付いてくるソレに眉をひそめながら顔を上げた時、あたしは持っていたスプーンをガチャンとテーブルの上に落とした。



なん……で……。



視界に飛び込んできたのは見覚えのある女達。



「あ~お腹空いた~」

「もー歩き疲れたし~」



あたしをイジメていた、あの女達。


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