Ri.Night Ⅲ
「っていうかさー、アオイさん海外から帰ってきたらしいね~」
「あ~、あたしもそれ聞いた~。海外留学で向こうの学校から来てくれって言われたのアオイさんだけだったんでしょ?凄いよね~」
「ホーント、あの女とは比べ物になんないよねー」
「ホントホント。アオイさんが居ない間にちゃっかり鳳皇に居座っちゃってさ。身の程をしれっつーの」
「そう言えばあの女急に居なくなったんだっけ?」
「らしいね。鳳皇が捜してるって言ってた」
「え?あたしもう捜すのやめたって聞いたけど?」
「そうなの?そりゃそうだよね。アオイさん帰って来たんだし。所詮あの女はアオイさんの身代わりだったんだよ」
「十夜くんとアオイさん幼馴染みだもんね。あの女が二人の間に割って入れる訳ないじゃん」
「だよね~」
「キャハハハ!」と女を捨てた様な下品な笑い声が辺りに響き渡る。
あたしはその声を微動だにせず聞いていた。
というか身体が固まって動かなかった。
女達の言葉が頭の中でぐるぐると渦巻く。
“アオイさん”と十夜が幼馴染み。
あたしは“アオイさん”の身代わり。
捜すのはもうやめた。
『………っ』
女達が妃奈に聞かせようとわざと大きな声で喋っているのは分かってた。
分かってた、けど……。
あたしの脳は知りたくもない内容を一気に知ってしまったせいで許容範囲を大幅に越えてしまったらしい。
冷静にならなきゃいけないのにそれが出来ない。