Ri.Night Ⅲ

テーブルに並べられている料理を虚ろな瞳で見つめる。


すると、黙り込んでいた妃奈が突然立ち上がった。


直ぐ様顔を上げると、目に飛び込んできたのは涙を堪えている妃奈の姿で。



妃奈?



「リンくん、帰ろう」


力強くそう発した妃奈の声は微かに震えていて、素早く荷物を腕に掛け、早く帰ろうと目で訴えてきた。


今にも泣き出しそうな妃奈を見ていられなくて、慌てて荷物を手に取って立ち上がる。



よほどこの場に居たくなかったのだろう。


立ち上がるのを見た妃奈はその場から先に立ち去ってしまった。


それを見ていたのか、一斉に笑い出した女達。



「あの子あの女に言うかな?」


「さあ?どうだろ?あの様子じゃ言うかもね」



その言葉に、あたしの中で何かが切れた気がした。





『──ねぇ』




「……え!?」



無意識に出たのは今までと比べ物にならないぐらい重圧のある声。


身体をゆっくりと半回転させ、流し目で女達を捉えていく。


視界に映る女達四人を自分でも分かるぐらい冷ややかな瞳で見下ろした。

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