Ri.Night Ⅲ

込み上げる怒り。


その感情は確かに存在しているのに、何故か妙に落ち着いていた。


そして、さっきまで動揺していた心も嘘みたいに静まっている。



「………っ」


鋭い視線を向けているのにも関わらず、頬を赤らめてあたしを見上げる女達。


その視線に吐き気がした。

心が冷えていくのが分かる。




『──人の悪口ほど醜いものはないと思うけど?』



「………っ」


あたしが発したその言葉にグッと息を呑んだ女達。


染められた頬の赤みが更に増していく。


その顔にクッと笑みが零れた。



『次は許さねぇから。言ってる意味、解るよな?』



そう言い放つと、赤く染められた女達の顔色が一変し、青ざめていく。



『次はないと思え』


追い討ちをかけるように冷笑を浴びせると、一人一人に睨みを利かせて踵を返した。

< 160 / 368 >

この作品をシェア

pagetop