Ri.Night Ⅲ
『妃奈、ありがとう。哀しませてごめんね。……正直、妃奈の言った通り女達の言葉を聞いて、今、凄くツラいし哀しい。何で知りたくもない事を知らなきゃいけないのって思う。
けどね、あたしだけじゃないの。ツラいのはあたしだけじゃない。
あたしに裏切られたと思っている鳳皇の皆も、引き離した事に罪悪感を持っている貴兄と優音も、皆ツラい。あたしだけがツラいんじゃないの。
だから、どんなにツラくても哀しくてもあたしは耐えなきゃいけない』
「凛音ちゃん……」
抱き締められていた細い腕がするりと解かれて、俯いていた妃奈が顔を上げる。
「……凛音ちゃんは、強いね」
泣くのを必死で堪えながら無理矢理笑顔を作ろうとする妃奈に、ううん、と首を横に振る。
『強く、ないよ……』
全然、強くなんかない。
だって、あたしは一人じゃ何も出来ない。
こうやって、あたしの為に泣いてくれる妃奈がいるから、必死になって守ってくれる貴兄達がいるから心を保っていられる。笑顔でいられる。
皆が居なきゃあたしは今頃ドン底に堕ちてたよ。