Ri.Night Ⅲ
「……お前、泣いたのか?」
急に真顔になった優音が、眉間に皺を寄せながらあたしの左目の下を指でそっとなぞる。
『優……』
なんで、バレるの?
いつもそうだ。
優音には隠そうとしても何故かバレてしまう。
それは優音だけじゃなく貴兄にも言える事だけど。
「お前等、場所と格好を考えろ」
『……へ?』
見つめ合っていると、「馬鹿か」と嵐ちゃんの声が聞こえてきて。
その声に振り向くと、嵐ちゃんだけじゃなく、過ぎ行く人達までもあたしと優音を怪訝な目で見ていた。
その視線に、ん?と首を傾げる。
キャーキャーと飛び交っている女の子達の黄色い歓声。
隣に居る妃奈まで何故か頬をピンクに染めてあたし達を見ている。
「いいかもしれない……」なんて意味分からない事まで言ってるし、この状況どうすればいいんだろう。
と、悩んでいると、
「妃奈ちゃん?はじめまして。リンと優の兄貴分の嵐です。嵐って呼んでな」
頭上から嵐ちゃんの声が落ちてきた。
「は、はじめまして!妃奈です!よろしくお願いします!」
『ちょ、嵐ちゃん重たいってば!』
首!折れる!
後ろから覆い被さる様に腕をあたしの肩に掛け、頭の上に顎を乗せる筋肉男。
その筋肉の塊は半端なく重たい。