Ri.Night Ⅲ
「ら、嵐さん、リンが死にそうになってる!」
うぅっと唸りながら必死にその重さに耐えていると、マイブラザー優音くんが嵐ちゃんをひっぺり剥がしてくれた。
流石優音!ありがとう!
あー重たかった。
「大丈夫だって。コイツはそう簡単にくたばらねぇよ」
『その筋肉にくたばらない奴が居るんなら会ってみたいわ!』
再び乗っかろうとしてくる筋肉男を数歩下がって猫みたいに威嚇する。
「ぷっ。みんな仲良しさんなんだね」
言い合いをしているあたし達を見てクスクスと笑う妃奈。
きっと妃奈の目にはあたしと嵐ちゃんがじゃれ合ってるように見えてるんだろう。
冗談じゃない。この筋肉はそんな可愛いものじゃないんだから。かなり重たいんだって!
可愛らしく笑う妃奈を見て、鼻の下を情けないぐらい伸ばしている嵐ちゃんにチッと舌打ちする。
ったく、その締まりのない顔をどうにかしろ!
ニヤついている嵐ちゃんをギロッと一睨みして、優音に帰ろうと顎で促す。
それにコクリと頷いた優音。
うん。筋肉男は放っておこう。
嵐ちゃんを軽く無視し、妃奈の手を引いて歩き出す。
目指すは数メートル先にある優音と嵐ちゃんのバイク。