Ri.Night Ⅲ


「妃奈ちゃんは俺の後ろな」


『ストーップ!!妃奈は優音の後ろ!!』


ちゃっかりと自分の後ろへ乗せようとする嵐ちゃんに素早くストップをかけ、妃奈の手をグイッと引っ張る。


ったく油断も隙もない。



『嵐ちゃんの後ろには俺が乗ってやるよ!優音、今の内に妃奈乗せて!』

「あ、あぁ……」


優音に妃奈を後ろへ乗せる様促し、妃奈の背中をポンッと押して嵐ちゃんから遠ざける。


それを見た嵐ちゃんは「妃奈ちゃんが良かったのに」と不満げな声を漏らし、あたしに見せつける様にはぁと大きく溜め息をついた。


……なんかムカつく。


ぶつくさと文句を言いながらあたしを持ち上げる嵐ちゃんに、『悪かったな、俺で!』と言ってイーッと頬っぺたを引っ張り、手に持っていたメットを乱暴に奪い取ってフンッと顔を背けて顎紐をはめた。


背けた先に見えたのは、優音と妃奈の姿。


ちょうど優音が妃奈にメットを被せてあげている所で、何だかいい雰囲気に見える。


二人の気恥ずかしそうな雰囲気にムクムクと脳内に広がっていくピンクな妄想。


どうしよう。大好きな二人が恋人になっちゃったら。


ムフ。ムフフフフ……。

その妄想が本当になったら嬉しいのになぁー。



妃奈を軽々と持ち上げ、そっとバイクに乗せる優音を眺めながら二人の将来を勝手に妄想する。
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