Ri.Night Ⅲ


「ただいまー」


無理矢理ゲームに付き合わされ体力が底を尽きそうになった頃、貴兄と慧くんが帰ってきた。


「貴兄だ!おかえりー!」


ゲーム音に紛れて微かに聞こえた貴兄の声。


その声にいち早く反応したあたしは、ゲーム真っ最中のコントローラーをポイッと放り投げ、待ってましたと言わんばかりに貴兄の元へ駆け寄っていく。


「ちょ!おま、途中で投げ出すな!!」


背後で遊大の焦り声が聞こえたけど、あたしの意識はもう貴兄へと向かっていて。


「貴兄、今日の晩ご飯何!?」


テーブルの上に置かれた買い物袋を覗き込んで物色する。


「お前、帰ってきた途端メシの話しかよ」


「プッ。凛音ちゃんらしい」


あたしの頭をクシャリと撫でる貴兄と、肩を震わせて笑いを堪えている慧くん。


ちょっと慧くん、そんなに笑わなくてもよくない?

ゲームしたら体力使うんだから!



「……ったく。今日はバーベキュ──」

「バーベキュー!?」


頭上に落ちてきた溜め息混じりの声を思いっきり遮り、貴兄の手を頭に乗せたまま勢いよく顔を上げる。


ジィーッと熱い視線を貴兄に向け、ヘラッと頬を緩めるとやったーと両手を高く上げて叫んだ。


肉!肉!肉!!


「肉ーーー!!」


「何!?肉!?」


あたしの雄叫びにこれまたいち早く飛び付いてきた遊大が、瞳をキランキランさせながら駆け寄ってくる。


「何何何何!?今日は肉!?」

「そう!肉!バーベキュー!!」


視線を交えたあたしと遊大はバシンと手を叩き合い、握り拳をコツンと突き合わせるとその場でくるくる踊り出す。


再び「いえーい!」と万歳して、貴兄と慧くんの手から買い物袋を奪い取ると一目散にキッチンへと走った。

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