Ri.Night Ⅲ
一方フーコはてんで気にしていない様子だった。
多分フーコは去年体験しているからだろう。
けど、やっぱり子供だからだろうか。
あっという間に花火に慣れたジュニアは、自分から花火の方へと近寄っていた。
「ほーれ、ほれほれ」
花火に興味津々のジュニアに嵐ちゃんがまるで猫じゃらしの様に花火を近付ける。
全く猫じゃないんだから、と溜め息をついていたら、なんとジュニアは嵐ちゃんの策略に見事ハマっていた。
「………」
か、可愛いけど、お馬鹿さんだったんだね、ジュニア。
嵐ちゃんとジュニアは放っておいて、妃奈達の元へと駆け寄った。
「妃奈、これ綺麗ー!」
「ホントだ!七色に光るんだね!」
妃奈があたしの持っている花火を見て感嘆の声を上げる。
色んな色を放つ花火を見て、あぁ、幸せだなと思った。
みんなで馬鹿を言い合って、楽しいね、と笑い合う。
どんなにクダラナイ会話でもみんなと一緒なら楽しくて。
時間なんてあっという間に過ぎていく。
貴兄と優音が居て。
嵐ちゃん達が居て。
そして親友の妃奈が居て。
あたしは今、物凄く幸せだ。
願わくば、この先何事も無くみんなで笑い合って生きていきたい。
これ以上は何も望まない。
だから、どうか。
どうか平穏に過ごせます様に。
心の底からそう願った。