Ri.Night Ⅲ
「お前も一緒に行ってくれるか?」
「え、あたしも?」
何で?
「透(トオル)と慎一郎(シンイチロウ)がお前と遊びてぇんだってさ」
「透と慎が?」
「と、その他」
「プッ。何、その他って」
貴兄の素っ気ない言い方に思わず吹き出してしまった。
そう言えば“あの日”から倉庫に行ってないかも。
“あの日”はみんな酔い潰れてたから挨拶もせずに帰ったし。
久々に逢いたいかも。
今日は直ぐ立ち寄れる格好だからわざわざ帰る必要はないしね。
「うん、いいよ。あたしも皆に逢いたいから行く」
「そうか。アイツ等も喜ぶよ。今日は男装してきて良かったな」
「うん、良かった。妃奈のお陰だね!」
貴兄から妃奈に視線を移すと、ニッと笑い掛けた。
「ううん!あたし、無理矢理リンくんになってって言っちゃったから」
そう。
実は今日、大して意味もないのに男装をしたのは、妃奈にお願いをされたからだったりする。
家から駅まで行くだけだし、貴兄と外を出歩く訳じゃないから素のままでいいかと思ったんだけど、妃奈がもう一回見たいって言うからその要望にお答えした。
どうやら妃奈さんは相当リンが気に入ったらしく、「いつもは違う髪型だよ」と言うと、「見たい!」とキラキラおめめで飛び付かれて。
まさかそこまで気に入ってくれてるとは思ってなかったからビックリした。
実は昨日、嵐ちゃんが妃奈に「この中で一番誰が格好良い?」って聞いたら「リンくん!」って即答されたんだよね。
その答えに嵐ちゃんは大爆笑して、優音は「同じ顔なのに…」と少しだけ落ち込んでいた。
「優音ドンマイ」と言ったのは言うまでもない。
まぁ、何はともあれ気に入ってくれて良かった良かった。