Ri.Night Ⅲ
「陽、答えろ。今何処だ」
一人だけいつもと変わらない口調なのは十夜。
何故か妙に落ち着いている。
チラリと十夜を見れば、さっきの口調とは逆にその表情はこの中の誰よりも険しい。
『……今、獅鷹の溜まり場の前。凛音に会ったらすぐ帰る』
「は!?」
予想外の言葉に更に身を乗り出す。
「オイ、陽……!!」
『分かってるよ。……会ったらすぐ帰るから』
「陽!!」
牽制する様に名前を呼んだが間に合わず、ツーツーツーと無機質な電子音だけが虚しく室内に響き渡った。
その音は通話が終了した事を意味していて。
「有り得ねぇ……」
陽の予想外の行動に最早頭を抱える事しか出来なかった。
ちょっと待てよ。
何がどうなってんのかさっぱり分かんねぇ。
陽が獅鷹の所に行ってるだと?
マジかよ。笑えねぇ。
「………」
……あぁークソ!どうすりゃいいんだ!!
そう、心の中で叫んだ時だった。
「行くぞ」
十夜がソファーから立ち上がった。
それを見て嫌な予感が頭を過る。
ちょっと待てよ。
まさか──
「お前、獅鷹んとこに行くって言うのか!?」
十夜の思いもよらない行動に声を荒げた俺。