Ri.Night Ⅲ
「………」
無言は肯定と同じ意味。
オイオイオイ。マジかよ。
まさか十夜まで行くと言い出すとは思わなくて、目頭を押さえて俯いた。
「お前、本気で言ってんのかよ?話し合いせずに乗り込もうっていうのか?」
「………」
「行ってどうする気だよ!」
俺達はまだ何も話し合っていない。
お前がどう考えているのか、凛音の事をどう思っているのか、俺には分からない。
分からないままじゃどうする事も出来ないんだよ……!
「十夜」
壱がテーブルの上に置いてある車の鍵を手に取り、ソファーから立ち上がる。
「壱!?」
「陽を迎えに行く。アイツを放っておけない」
十夜は横目で俺を見下ろすと、言い終わらぬ間に再び歩き出した。
その後ろを着いて行く壱。
二人が玄関に向かうのを目で追いかけていると、彼方がチラリ、俺に目を向けた。
その視線に気付いた俺は彼方と目を合わせ、「仕方ねぇな」と一言呟いて溜め息を洩らす。
そんな俺を見て彼方は小さく苦笑していたけど、俺は笑えねぇよ、と心の中で呟いて煙草をポケットに入れた。
あー、どうすんだよこれ。
計画性全くねぇじゃねぇか。
陽が心配なのも分かる。
獅鷹じゃなきゃ俺も何も考えずに行こうと思う。
けど、相手はあの獅鷹だ。
アイツ等は此処ら辺のヘボい族とは格が違う。
考え無しに乗り込んで倒せる相手じゃないんだ。
それに、“倒せる”訳がない。
凛音がいる以上、アイツ等に手を出す訳にはいかないんだ。
十夜、それがあるから今日、話し合いをするって決めたんじゃねぇのかよ。