Ri.Night Ⅲ
────…
『やったー!透に勝ったー!』
プロレスゲームで透と一戦交え、自分の出番が終わった所でよっこらせと重い腰を持ち上げて、『ちょっとお花摘みに行ってくるー』と二人に手を振る。
「お前、古っ!!」
『はぁ?何処が古いのよ!上品って言ってくれる!?』
「え、上品?」
慎からのツッコミにムッと口を尖らせれば、返ってきたのは透からで。
苦笑しながら首を傾げているところがムカツク。
そんな二人プラス、苦笑している周りの皆を一睨みして「女心が分からない奴等だ!」と声を荒げながら部屋を後にした。
「ふぅ……」
「牧村もよくやるよなー」
ん?
無事お花を摘み終えてトイレから出ようとドアノブを回した時、ドアの隙間から聞こえてきた数人の話し声。
「あの金髪、ボコボコにされるかもな」
耳に飛び込んできたその会話に息を呑んだ。
──今、なんて言った?
“あの金髪?”
金髪と言えば陽を思い出すけど……。
まさか……そんな訳ないよね。
金髪なんてそこら辺にいるし。
『……陽』
だけど、頭の中でどれだけそう思っていても、嫌な予感は消えてくれなくて。
絶対違うという確証を得る為に、ドアノブをそっと右に回してドアの隙間から様子を窺った。
声が近いところをみると、どうやら直ぐ近くで話し込んでいるようだ。