Ri.Night Ⅲ

リビングから出て洗面所へ行き、洗顔と歯磨きをして自分の部屋へ戻る。


……さて、何からしようかな。


ぐるりと部屋を見回して、一旦ベッドに腰を下ろして考える。



はぁ……。なんかやる気出ないや。


準備をすると言って部屋へ戻ったものの、一向にやる気が出ない。



その理由は考えなくても分かっていた。



獅鷹の皆には逢いたい。


けど、それ以上に“倉庫”へ行くという事に躊躇いを感じている自分が居る。


貴兄には大丈夫って言ったけど、正直、まだ鳳皇への未練は残っていたから。


当たり前だ。一週間やそこらで忘れられる程軽い気持ちじゃない。



まだ目を閉じるだけでこんなにもハッキリと皆の顔を思い出せる。



声も、仕種も、温もりも、何もかも。

全て覚えている。



今日行く倉庫が例え違う倉庫だったとしても、“あの場所”へ行くとこれ以上みんなの事を思い出してしまいそうでコワイ。


それにまた耐えなきゃいけないと思うと、考えるだけでツラくなる。




「はぁ……」


小さく溜め息をついて、さっきと同じようにベッドへゆっくりと仰向けに倒れる。



「遊大、か……」


懐かしいな……。


一年ぶりに会う遊大。


「ふふっ。アイツ、今どうなってるかなー」


久しぶりに逢えると思うと嬉しくなって、自然と笑みが溢れた。


遊大はあたしの一つ上で、近所に住んでいるあたし達兄弟の幼馴染み。


小さい頃からずっと一緒だった遊大は、凌も交え、兄弟みたいに仲が良かった。


特に遊大は貴兄が大好きだったから、貴兄が獅鷹に入るとその後を追いかけるように獅鷹へ入り、今じゃ幹部入り。



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