Ri.Night Ⅲ
あたしは、陽の想いにどう返せばいい?
出来る事ならあたしも陽の言った通り、“凛音”という一人の人間として陽と付き合っていきたい。
けど、それは簡単な事じゃない。
「陽……」
簡単な事じゃないんだよ。
「ごめんね」
だから、こう言うしかないの。
陽にとって一番聞きたくないだろう言葉を告げるしか。
「……っ、なんで?何でだよっ!!」
「陽……」
声を荒らげながら迫る陽に、無言で頭を振る。
陽も分かってるんでしょう?
あたし達が“友達”なんて関係でいられないって事。
そんな簡単じゃないんだよ。
鳳皇と獅鷹の深い溝はそんな簡単に埋められるもんじゃない。
いくらあたし達が一人の人間としてと言って付き合っても、繋がりを完璧に切り離す事なんて出来ないし、絶対何処かで関わってくる。
だから──
「陽──」
「凛音は!!」
「……っ」
「……凛音は、俺が嫌いなのか?」
「っ違う!」
違う!そうじゃなくて……!!
「俺と友達で居るのが嫌なんだろ?」
陽の瞳がゆらゆらと揺れて。
真っ直ぐなその瞳に責められているみたいで、何も言葉が出てこない。