Ri.Night Ⅲ
「陽、皆に言わずに来たんでしょ?」
何度も鳴る着信はきっとそういうことだと思う。
「……っ、言ってきたよ!」
「十夜達がいいって言ったの?」
「……っ、」
やっぱり。
陽は分かりやすい。思ってる事が全部顔に出る。
あたしの所へ行くって言ったのは本当だろうけど、了承は得てないんだろう。
あたしと陽は似てる。
だから分かるんだ。
あたしもきっとそうするだろうから。
「ふふっ」
そう言えば、前にもあったね、こんなこと。
女達に手紙で呼び出され、陽と二人で呼び出された場所へ行ったあの時、あたし達は十夜達の了承を得ずに電話を切った。
ついこの間の事なのに、もう何か月も前の事のように感じる。
「懐かしい……」
「………え?」
あたしの呟いた言葉に眉を寄せて首を傾げる陽。
そんな陽に小さく笑う。
あの日が鳳皇との決別の日だった。
今まであった事が少しずつ少しずつ溜まっていって。
そしてあの日、溢れ出した。
今思えば、あたし達がこうなるのは運命だったのかもしれない。
「陽……あたし達は友達じゃいられないんだよ」
誰からも許して貰えない。
貴兄からも十夜達からも。
だって、そうでしょう?
陽も同じ事を思ったから返事を聞かずに此処に来たんでしょ?
十夜達が反対すると思ったから。
あたしと関わるのを反対すると思ったから。