Ri.Night Ⅲ
「凛音ー、準備出来たか?もうすぐ出るぞ」
「えっ!?」
コンコンとノックの音がして、しまった!と勢いよく飛び起きる。
「ちょっ!もう出るの!?」
こんなに早いと思ってなかったんだけど!
「倉庫に行く前に買い物しに行くんだよ」
着替えてると思っているのか、優音はドアをノックしただけで部屋には入って来ない。
そんな優音にラッキーと指を鳴らしながら「そうなんだー」と返事する。
だけど、そこは優音くん。
貴兄並みに鋭い。
「……お前、まさかまだ準備してねぇとか言わねぇよな?」
そう聞こえたかと思うと、バンッと荒々しく開いたドア。
「…エヘ。実はまだです」
般若の様な形相で部屋の中へと入ってきた優音くんにそう猫撫で声で言うけど、そんなもの今更無意味で。
「早く来いよ!」
優音くんはそう言うと、頭に角を生やしながら出て行ってしまった。
「こえー」
肩を縮こませながら小走りでクローゼットに駆け寄って行き、普段使っているクローゼットではなく、男装専用クローゼットを開ける。
うーん、どうしようかなぁ……。
久し振りに着る服達を見て、真剣に悩むあたし。