Ri.Night Ⅲ
何もかも忘れたい。
あれだけ“絶対忘れない”と思っていたのに、今はもう心に留めておく事の方がツラかった。
何重に鍵を掛けても、逢うだけで簡単に開けられる。
それだったら、いっそのこと忘れてしまえばこの苦しみから解放されるんじゃないか。
そう思いたくなるほど追い詰められていた。
上半身をゆっくりと起こし、無理矢理足に力を入れて立ち上がる。
今はもう手を払うという簡単な事さえ億劫で。
俯いたままおぼつかない足取りで歩き出した。
「リン!!」
「お前何処行ってたんだよ!」
倉庫に辿り着くと、倉庫の前に透と慎がいて。
目が合うなり駆け寄ってきてくれた。
だけど、あたしは心も身体も疲れきってて、返事どころか笑顔も見せられない。
「お前、コンビニに行ってたのか!?行くんなら言くって言って行けよ!突然居なくなったら驚くだろうが!」
「……ごめん」
あたしが持っているコンビニの袋を見て怒りを露にする慎。
そんな慎に俯きながら謝った。
今回は全面的にあたしが悪い。
何も言わず、感情に任せて倉庫を飛び出したあたしが悪い。