Ri.Night Ⅲ
「どうした?何かあったのか?柾木達がお前が飛び出して行ったのを見たって」
……柾木?
あぁ、陽を見たって言ってた人達のことか。
「コンビニに行くのに何でそんなに慌てる必要があった?」
まるで飛び出して行った理由を知っているかの様な言い方に心臓がドクンと大きく音を立てる。
……まさか、透はあたしが陽を追いかけたという事を知ってるの?
あたしを覗き込む透の瞳が何故かそう言っている様な気がして、背中に一筋、冷や汗が伝った。
なんて返事をしたらいいのか分からない。
この探る様な瞳を上手くかわせる術を導き出せない。
どうしたら……。
そう心の中で呟いた時、慎が透の肩をポンッと叩いた。
「透、そんな野暮な事聞いちゃ駄目だろ。女のトイレっつったらアレだろ、アレ」
「……へ?」
アレ?
「生理だよ生理。だから走って行ったんだよ。ったく、それぐらい察してやれよ」
いやいやいや。
慎こそ察してよ。
そんなこと普通大声で言わないよね。
っていうか生理じゃないし。
まぁ、それが一番誤魔化しやすい理由なのかもしれないけど。
あたしの心情を探ろうとしている透を納得させるのには一番有効な理由。