Ri.Night Ⅲ

「──の、凛音!」


「……え?あ、ごめん、何?」


意識が何処かへ飛んでしまっていたのか、遊大に肩を揺らされるまで呼ばれている事に気が付かなかった。


「お前、トリップしてんなよな。手動かせ、手」


振り向けば遊大が呆れた顔であたしを見ていて、ハァと大袈裟に溜め息をつかれた。


そんな遊大に言い返す事が出来ず、「ごめん」と小さく謝る。


「まぁいいけどよ。それよりガムテープは?」


「ガムテープ?」


寄越せと言わんばかりに手を差し出してくる遊大にキョロキョロと周りを見回す。


だけど、何処にも見当たらない。


もしかしてさっき優音に渡したのが最後だったんだろうか。


「ちょっと待ってて。優音に貸りてくる」


そう言うと、重い腰を上げて寝室を出た。



「優音ー、さっき渡したガムテープ貸してー」


リビングのど真ん中でせっせせっせと段ボールに何かを詰めている優音に後ろから声を掛ける。


「ガムテープ?もう無くなるけど」


「嘘!?こっちももう無いんだけど……」


どうしよう、困った。

ガムテープが無いと作業が出来ない。


「うーん……。詰めるだけ詰めて次来た時に閉めようかな……」


「なら、買いに行くか?」


「へ……?」


突然後方から声がして振り返ると、寝室に居る筈の遊大が何故か背後に居た。


「んー」と背伸びをしながら「どうする?」とあたし達に問い掛ける。

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