Ri.Night Ⅲ
43.偶然
────……
『ねぇねぇ!あれ、獅鷹のタカさんじゃない!?』
『ホントだ!ユウくんも居る!』
『ユウくんの隣に居るそっくりな男の子誰!?兄弟!?』
『分かんない!見たことないよね。でもユウくんより中性的な顔で綺麗~』
……ウザい。
かーなーり、ウザい。
人の顔見てキャーキャー言わないで欲しいんですけど。
あー、もうホント失敗した。
地元の繁華街とか獅鷹のファンが沢山居るに決まってるのに何で車で待たなかったんだろう。
ったく、何が『大丈夫大丈夫!平日だからそんなに人いねぇだろ』よ!沢山居るじゃない。
っていうか、よく考えたら今夏休みだし。人が多くて当たり前だ。
もう!優音に騙された!
「リン、モテモテだなー」
『あぁ“?』
「ごめんって。そんな怒んなよ」
『………』
な?とあたしの頭をポンポン叩く優音をキッと睨み付ける。
だから、そんな事するから騒がれるんでしょ!
遠巻きで見ているギャラリー達が『キャー!あたしも優音くんに頭撫でられたい!』と喚いていてかなりウルサイ。
『ねぇ、優──』
「リン、優、此処入るぞ」
あたしの言葉を見事に遮ってくれたのは、いつも以上にキラキラオーラを放出しているお兄様で。
お兄様はある建物の前で立ち止まると、“それ”を顎で指した。
『ド〇キ・ホーテ?』
見上げた先にあったのは、あの有名なド〇キ・ホーテ。