Ri.Night Ⅲ
「……それでもあたしは鳳皇から離れなかった。一緒に居たいという欲望を優先して、全てを隠し通した。
……その結果がコレ。あたしは皆を傷付け、更に獅鷹と鳳皇との溝を深めた。
あたしは、ただ、皆を傷付けただけ」
「凛音……」
「……そして、遊大も」
「………っ、」
ゆっくりと遊大の方を振り向く。
いつからあたしを見ていたのだろうか。
遊大はあたしが振り向いた時にはもう、哀しげな瞳であたしを見ていた。
「先に、聞いていい……?」
「……あぁ」
「遥香さんのフルネーム、教えて」
震える唇が緊張している事を表している。
遊大から告げられようとしている真実に鼓動が速くなる。
多分、いや、あたしの予想は当たってるだろうから。
きっと遥香さんは──
「──蒼井、遥香」
あの女達が言ってた“アオイさん”だ。